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【中島さち子特集①】PuChu!がただ遊ぶためのキッズパークにとどまらない理由
2020.01.30


何かに“没頭できる環境”こそが
子どもの未来を育むキャンバスです。

小橋賢児さんが掲げていたPuChu!のコンセプトを、幼児教育の観点からサポートし企画に参画していたのが新しいあそびとまなびの場やステージを開発する、学習建築スタジオ「(一社)follow your MUSE(ミューズ)」。代表の中島さち子さんに、未来の子どもたちのために今、大切な学びについて伺った。


「楽しく学ぶ」のではなく、
楽しいと感じるその中にこそ学びは存在しているんです。

子どもって試行錯誤しながら遊ぶことで学んでいるんです。楽しく学ぶというワードが世には溢れていますが、ともするとそれは表面的な楽しさであり、学びであることも。抽象的ですが、楽しいと感じていることの中にこそ学びはあると考えています。どういうことかというと、他者に強制されるのではなく、自ら何かを選択しそれに夢中になっている。その状況こそ、世界が深まり、あるいは広まり新しい感覚が芽生え、すなわち学びにつながるのです。そんな状況を引き出せる空間にしたい!という思いでPuChu!のプロジェクトはスタートしました。



フロー状態=没頭する状況を作って
世界が広がる学びのサポートを

夢中になって遊ぶその中にこそ学びがあるとお話ししましたが、子どもが遊びに夢中になって没頭している状況をフロー状態(理論)と呼びます。PuChu!ではこの状況を引き出せるようなアクティビティとスタッフ(PuChu!人)の育成に注力しました。実際の研修は、MUSEの堀昌浩さん(認定こども園さくら園長)より、様々な現場ならではの知見やアクティビティを交えてお伝えしました。例えばノリノリで遊んでいる子どもの方が夢中になっていると思いがちですが、無口で一見つまらなそうに見える子どもこそ、実はフロー状態で集中して遊んでいたりするので、子どもたちへの声がけのタイミングなどは細心の注意を払っていたりするんです。没状態の子どものせっかくのアイデアを壊してしまわないように…。この辺りのケーススタディは、堀さんを中心に、かなり綿密に行っています。


「できる」感じと「できない」感じ
そのバランスも子どもの成長には大切なんです

もう一つ、子どもの成長に寄与するのが、発達の最近接領域理論と呼ばれるもの。簡単に説明すると「一人でできること」と「ちょっと手助けがあればできること」の差を作り出し、手助けによって一つレベルアップしできることが増えるという経験が、成長に大きく関わっているという理論です。PuChu!の各スペースには(年齢とともに)この理論を散りばめ、子どもたちの「できた!」という経験をサポートしています。「ちょっとした手助けでできること」は、時に、家族やお友達やPuChu! 人との触れ合いや憧れを生み出したり、あともう少しで一人でもできる!という挑戦心やモチベーションを育みます。



8つある知性領域×アーティスティックな空間で
多方面から子どもの可能性を刺激。

人間の知能は一つではなく、誰しもが8つの知能を1セットとして持っているとする理論があります。それが多重知能(知性)理論*です。①対人的知能 ②論理・数学的知能 ③博物学的知能 ④視覚・空間的知能 ⑤内省的知能 ⑥言語知能 ⑦身体・運動知能 ⑧音楽・リズム知能、これら8つの知能(知性)領域は個々で得意・不得意と差はあるものの皆が持つものと考えられています。PuChu!ではこのすべての知能(知性)領域を刺激できるような仕掛けを全体空間の中に多彩に組み込んでおり、子どもそれぞれの個性や好き・得意分野を伸ばすことができると考えています。
 
 さらにPuChu! は、全体的に「感性」を多角的に刺激する(Multi-Sensory)体験を通じて、こうした8つの知能(知性)や感性が、個別ではなく総合的に育まれていくように、デザインされています。

*一般的に知能はすでにもつ能力(答えがあるものに対する力)、知性は感性をも用いた未来的な力(答えが必ずしもないものに対して向き合う力)を表し、異なるものを指しますが、関連は深いもの(英語ではともにintelligence)です。また、多重知能理論では知能は成長の可能性を持つと考えます。PuChu! では、能力以上に将来への成長の期待や創造の可能性を大切にするために、時に多重知性理論として本理論を紹介しています。

様々な理論に基づき「楽しさの中に学びがある」という仕掛けを秘めたPuChu!。何かに没頭できる環境としては最高の場所ではないでしょうか。

Profile
中島さち子さん
一般社団法人「follow your MUSE」共同代表理事。
メディア・アート・デザイン・エンタテインメント・STEAMS※などの多様な視点から、新しいあそびとまなびの場を開発する学習環境デザインスタジオ「follow your MUSE」。東京とNYを拠点とし、アーティスト、テクノロジスト、数学者、クリエーター、幼児教育専門家をはじめ、様々な分野のスペシャリストが所属。『ひとりひとりの心の中にある MUSE(感性や好奇心、美学)を信じ、育てよう』をテーマに、乳幼児から大人まで、プレイフルで創造的になれる社会を目指している。
※STEAMS …Science:科学、Technology:技術、 Engineering:工学・ものづくり、Arts:アート・リベラルアーツ、Mathematics:数学、Sports/Shintaisei:スポーツ・身体性 を横断する学び